書で「表現の扉」を開く

十書家(とおしょか) 

平野 燿華 Hirano Yoka

 

書道家ではなく、「書」という表現手段を使って「いろんなものにいろんなものでいろんなものを書く人」─だから「十書家」です。

よく作品について「絵のような書」「エネルギーが乗っている書」といわれます。

それは、喜び、怒りや迷い、恐れ、悲しみや孤独といった自分自身の奥深くにある感情に向き合い、作品の中で昇華しているからでしょう。

独自の「書」が生まれたきっかけは、心理学の勉強のために留学したドイツでの出来事でした。

6歳から古典的な書道を習い続けていたにもかかわらず、友人から「何か書いて」と頼まれた時、先生の手本がないと作品が創れないことに気づいたのです。

その事実に愕然とし、「自分の世界観を表現する書を創る」と決意しました。

帰国後は、会社員のかたわら「どんな書が書きたいのか」を自分に問い続ける日々。

ようやく自分の中から出てくる思いを表す漢字を、墨で、書道の常識にとらわれない自由な書き方で表現する作風に辿りつき、書家として独立しました。

現在は、「書」の創作活動とともに商品やサービスのコンセプトに応じたロゴ作成、「筆跡診断」や「自分理念」のセッションも行っています。

もともと子どもの頃から人の心の動きに興味があり、大学で心理学を学びました。

そして、書家として多くの方にバランスのいい名前の書き方をアドバイスするうちに、文字の形から、溢れでてくるようにその方の内面が見えるようになり「筆跡診断」をするようになったのです。

さらに、潜在意識に働きかけるヒアリングによって、その方自身の中にある生き方の軸=「自分理念」を引き出せるようになり、その言葉を「書」にしてお渡ししています。

私自身の「自分理念」は「書きなさい、そこに答えがあるから」。

私は、美術や絵が得意ではありませんでしたが、「書」というツールを使って「自分自身を表現する」と自分に許可できたことで、「表現の扉」が開きました。

誰もが何かしら表現のツールを持っています。でも、それが何か分からず表現したいのになかなか表現できない人も少なくありません。そうした方たちにセッションを通して「表現の扉」を開くお手伝いをしたい─そう考えています。

■プロフィール

宮城県南三陸町出身、6歳で書道を始める

東北大学教育学部教育心理学科を卒業後、ドイツトリアー大学に留学

特許事務所勤務を経て、書家として独立

大倫書道会師範、日本教育書道藝術院師範科卒

【主な活動歴】

2000~2002年 ドイツのトリアー大学と美術専門学校にて書道講師を務める

2005年 第一回個展「繋がる」開催@中野坂上

2005~2010年 大人の書道教室「中野坂上書道ソサイエティ」を月次開催

2007年 第二回個展『ぐるぐる』開催@南青山

2011年 7年間の会社員生活を経て書家として独立

2012年 東日本大震災復興支援チャリティ展『ムコトバの世界』開催@四谷

2012年・2014年 自由大学にて講師を務める

2015年 アメリカポートランドにて「雄勝硯復興支援プロジェクト」で書のパフォーマンス

2016年 第四回個展『時』開催@西荻窪

2017年 第五回個展『渦』開催@水道橋

2019年 「筆跡診断」セッションを本格的にスタート

2021年 「自分理念」セッションを本格的にスタート

【主な受賞歴】

2009年 日本教育書道藝術院書作展 東京新聞賞

2013年 第29回産経国際書展新春展 産経新聞社賞(最高賞)受賞

2013年 第30回産経国際書展 国際賞受賞