1982年
小学校1年生の下校時に、当時開塾したばかりの書の師匠がチラシを配っていたのを見て、家から徒歩30秒のところに教室があったため通うことを決める。このころの遊びは砂浜で波を眺めること。
 
1990年代
四方八方を海と山で囲まれた小さな町にいることに耐えられず、いつか必ず外に出ると決める。
 
2000~2003年
ドイツ留学時に書道師範の資格を取る。が、お手本がないと作品が作れないことに愕然とし、自作の詩を段ボールに書くなどして少しずつ創作活動を始める。一方で森に囲まれた生活の中で海が恋しくなり始める。
 
2005年
上京した時に知り合った方から「君のキーワードは何?3つ挙げてみて」
と言われたときに「海、ドイツ、書道!」と口から出てきた瞬間に、
そうだ、これからは書道家と名乗ろうと決め、そこから書道教室の依頼や個展開催のお誘いをいただくようになる。
このころ、自分が書きたいのはきれいな書ではなく、自分の心の中であることを自覚する。
 
2011年
東日本大震災の津波で実家に置いてあった作品約1000点が流される。
自分の中の「海」に対する感情がぐちゃぐちゃになる。
 
2012年
震災の悲しみがなかなか癒えず、どんな言葉も嘘や凶器になりそうで作品が作れずにいた中、チャリティ個展のお誘いを受け、ここで書かなければ一生書けないかもしれないと奮い立ち、言葉を使わずに墨で表現することも受け入れる。(個展:ムコトバの世界)
 
2018年
ずっと字と人の心の動きを眺めてきたことから、筆跡を見るとその人の生き方、詰まっている事柄などが見えるようになり、創作活動と合わせて筆跡コンサルティングも始める。
 
2020年
自分が書を通じて表したかったのは、大好きで大嫌いで大切な故郷の海だったことに気づく。作品で多用する墨の濃淡やかすれ、にじみと渦は、水の流れを表している。