オーダーメイド例①     「子供の名前を アート作品として飾りたい」

 

 

 

先日、

 

「子供の名前を飾りたいので、筆で書

いてほしい」

 

というご依頼を受けました。

 

命名書のようなカチッとしたものでは

なくて、インテリアとして飾れそうな

のを、とのご希望だったので、早速、

書体やデザインのイメージとお子さん

のお名前の由来や意味などをヒアリン

グ。

 

 

颯(さや)ちゃん

 

何事も前向きに、逆風にも立ち向かっ

てほしい、しなやかかつ凛としたかっ

こよさを持つ女の子になってほしい、

という願いを込めてつけられたとのこ

とで、書体もそれに似合うもので、と

のお話をいただきました。

 

颯爽という言葉に使われるように、

颯にはきびきびとした様という意味も

あるので(旺文社 漢字典より)、そ

辺を頭に入れて、まずは第一案を作成

します。

 

 

 

 

風の縦画でしなやかさを表し、虫の最

終2画に意志の強さを込めてみて。背

景のくるくるした丸は、ヒアリングを

したときにビデオ電話で映してもらっ

たさやちゃんのまんまるな瞳にインス

ピレーションをもらいました。全体的

に女の子らしい丸みを意識したデザイン。

 

 

 

逆境に立ち向かう強さ、を強調したく

てかすれを多用し、風の横画の角度も

右上がりをつよくした表現を用いまし

た。ただ、全部の線がそれだと固くな

ってしまうので、風が前の中は少し丸

めの線で女の子の丸みをイメージしました。

 

 

 

1枚目の書体で、背景を変えたもの。

名前の由来を聞いた中で「しなやかに

立ち回れる子に」というお話を聞いた

ので、粒粒を、さやちゃんが将来出会

うであろう人たちに見立てて、その中

にバランスよく字を配置することで、

その様子を表現しました。

 

 

と、この時点で、お客様に持っていた

イメージと合っているかを確認します。

 

 

 

写真を送信してから、お返事が来るま

での間が、実は結構緊張する時間だっ

たりします(笑

 

そもそも書をオーダーメイドする機会

ってそうそうあるものではないと思う

ので、お客様の頭の中にある書体や出

来上がりに対するイメージは割と漠然

だったりします。

(それは当然だと思います

 

そこでヒアリングをしっかりと行って

お客様の言葉から具体的なイメージを

私の中で起こして、それを形にするの

ですが、やっぱりそこは一度で

100%合致することは至難の業で。

 

なので、一度ラフ版として、

「こういう形で表現してみましたがど

うでしょう?」

 

と出してみて、そこで初めてお客様の

方でも判断基準ができて「ここはもっ

とこうしてほしい」というはっきりと

したご要望が出てくるので、そこで修

正をかけて完成に持っていきます。

 

 

ただ、この段階で、まったくもって希

と違うものを出してしまってはいけ

いので、そういう意味で、お客様の

メージに近いものになっているかど

かが問われる、ピリッとした緊張が

る時間です

 

 

今回は、ラフ版をお見せした段階で、

「曲線より直線、あとかすれが好き」

というお客様の希望が聞けたのと、

背景については、込められた意味がど

ちらとも素敵、と言っていただいて迷

っていらっしゃったことがあったので

こんな形での最終提案をさせていただきました。

 

 

背景は円と粒の2つを合体。

かすれも入れつつ、風の構えは直線で

とした感じを出して、全体的に強い

れどもしなやかな線で書きました。

一番のこだわりポイントは風の一画目。

普段なら丸くはらうところを、直線で

ひいたところです。これによって文字

全体が引き締まった印象になっています。

 

 

 

そして、再度お客様に確認していただくと。

 

「しなやかで、

女性っぽさを感じる!!!」

 

と気に入っていただけました。

 

やったー!と飛び上がるほどうれしい瞬間です

 

ここからは裏打ち業者さんに、色紙仕

てにしてもらって、発送します。

(裏打ちとは こちらをご参照ください→ https://www.ubido.co.jp/SHOP/129456/129488/list.html

 

 

受け取ったお客様からは

 

「色紙の金の縁と、赤の印が入った

ら、ぐっと引き締まってかっこよく

なったし、実物は、よりいいですね!」

 

というご感想をいただきました

 

 

お部屋に飾ったらこんな感じになったそうです♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書のオーダーメイドは、ご依頼からヒ

アリング、ラフ版の制作→修正→完成

まで、大体1か月くらいでの納品にな

ります。

 

すぐに額に入れて飾れる状態でのお渡

しができます。

 

今回のような、お名前のほかにも

好きな言葉等も書きます。

 

色紙大~一般的な書道半紙の大きさは33,000円。それよりも大きいものはお見積もりとなります。

 

 

お気軽にお問い合わせください♪

 

 

 

 

 

 

【海】

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こないだシャワーを浴びていたら


「結局は海なのか」



という言葉が降ってきた。


 

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3月はなんとなくいつもよりも落ちてしまいがちだから、どんな状態だと自分は心地いいんだっけということを改めて知っておきたくて、

何が楽しくて筆を持つのか

何をやりたくて墨を摺っているのか

を自分の中に問いとして置いてみた。



その中でいろいろな書体を試してみていて、


写真のようなものを書いているときの、予期せぬにじみやかすれ、墨のグラデーションに出会うことが好きで、一色の墨色でまじめにきれいな線を書くことはできることだけど、そこまで興味がないなあ、ということを認識する。


見てみて、このにじみの中にあるかすれ♡

これ、大好物♪

って人に言って回りたい気持ち。



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そして、小さいころ、何もすることがなくなると海に行ってずっと波の形を眺めていたことも思い出す。




大きそうな波、これはここまでくるかな?


それほどでもないと思ってたけど足元まで来た!


この波はあの引き波に勝つかな、負けるかな。


あ、あっちで泡が立った。




そうやって、同じ形になることは二度とない波をずうっとずうっと眺めているのが好きだった。


今度はどんなふうになるのかな?


こないだ海に行った時もやっぱり波の動きをずうっと追ってる自分がいた。


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海と三方を山に囲まれた小さな田舎町の漁師の家に生まれて、閉塞感のある田舎が大嫌いだった。


なんだか海は自分を縛る象徴のような気がしていた。


大嫌いだったけど、海のない生活をしてみたら愛おしさが募った。




自分のアイデンティティのど真ん中に海があることを知り、受け入れたのち、海は牙をむく。



呆然と、静かになった海を何度も眺めたけれど、それでも海を恨むことはできなくて、抵抗をやめた。



そうして、今、自分が書で表現したいものが


波のように一色の中にグラデーションがあって、


しぶきを表すようなかすれや


水の広がりを模したにじみの中に現れる


海だったことにいきつく。





人生の中ではねのけたかったり急に愛しかったりしながら結局は自分にとって大切なベースになっている海を、私は表現したかったのだ。